プロローグ
ある天才的な生物科学者がいた。
彼は大学を卒業したばかりの頃から、その異才を発揮していた。
常に最新の研究テーマに挑み、驚異的な速度で成果を上げてきた。
しかしその天才ぶりとは裏腹に常識に欠ける一面を持っており、
人付き合いが苦手で、他人の感情や社会のルールに対して無頓着だった。
ある日。いつものように研究室で一晩を明かし、
疲れ切った体を引きずりながら、朝のラッシュアワーの電車に飛び乗った。
しかし彼は無意識のうちに、女性専用車両に乗り込んでしまったのだ。
車内はすし詰め状態で、周囲の目に気づくことなく、肩で息をしながら吊り革に掴まっていた。
突然、制服姿の少女が叫び声を上げた。
「このひと痴●です!」。
その声は瞬く間に車両内を駆け巡り、周囲の女性たちの視線が男に集まった。
彼は何が起こったのか理解できず、ただその場で呆然と立ち尽くしていた。
だが、彼の曖昧で挙動不審な態度が逆に疑いを強め、乗客たちの証言も重なり、痴●の冤罪で逮捕されることとなった。
裁判では、証拠不十分であったにもかかわらず、社会的な圧力と、彼の奇妙な言動が不利に働き、実刑判決が下された。
彼は刑務所の中で、自分の無実を信じてもらえなかった怒りと、無力感に苛まれながら日々を過ごした。
そして心の中には次第に、深い恨みと復讐の念が芽生えていく。
釈放後、彼の人生はすっかり変わってしまった。
社会から拒絶され、かつての研究仲間からも見放された彼には、もはや失うものは何もなかった。
しかし心にはただ一つ、暗い復讐の炎だけが燃え上がっていた。
彼は密かに、独自の研究を再開した。
寝食を忘れ全財産を費やし、触手のような性質と怪力を持つ、未知の生物ウイルスの研究に没頭する。
彼はウイルスを改良、自らの体内に注入し、「変身」することを決意したのだ。
結果、彼の体は恐るべき触手モンスターへと変貌していく。
決行の日。再び電車に乗り込む。
あのときと同じ曜日、同じ時刻の女性専用車両へ。
車内の女性たちが彼の姿に気づいた時には、もう遅かった。
彼の体から無数の触手が伸び、心に巣食う深い憎悪が車内を覆い尽くす。
孤独な天才科学者の復讐劇が今、幕を開ける──。
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※画像枚数210枚と、それらを一つにまとめたPDFが入ってます。
※stable diffusionで画像を生成しています。