内容
夫を事故で喪ってからはや5年。
美智子(みちこ)は女手ひとつで息子の良樹(よしき)を育てあげていた。
幸い、亡き夫が残した家と死亡保険金により生活自体は苦しくはない。
しかし、受験を控えた息子の扱いは難しかった。
「母さんが好き」。
そう口にする息子の『ストレス解消』を一度手伝ったことがきっかけだった。
以来、息子は勉強の息抜きに母親の身体を求めるようになる。
こちらが無反応を通していればやがては飽きるだろう。
そう考えていた美智子だが、勉強熱心な息子は性の知識にも貪欲で……
冒頭部分紹介
「入るよ」
ノックとともに寝室の扉が開かれ、寝間着姿の息子――良樹(よしき)が姿を現した。そのままおずおずと美智子のベッドに歩み寄ってくると、息子は緊張の面持ちで告げてくる。
「受験勉強、集中できなくてさ。今日もお願いしていい……?」
息子は気まずそうに頬を赤らめていた。勉強自体は入浴後の18時からほとんどぶっ通しで続けているはずだから、かれこれ5時間以上は机に向かっていたことになる。
「もう寝て明日にしたら?」
美智子はあくびをしながら応じる。
明日は土曜日なのだから、少し長めに勉強したいという気持ちもわかるけれど、睡眠不足の状態で無理をしても良い結果は生まれない。
「夜更かしをし過ぎると、睡眠リズムが狂うよ」
「大丈夫。いつもは深夜二時まで勉強してるから」
息子は顔つきは真剣そのものだった。
「それに、こんなに……なんていうか、溜まった……状態だと安眠できないっていうか……」
けれども続いて発された言葉を聞いて、美智子は嘆息する。
また始まった。というのが素直な感想である。とはいえ雑にあしらってストレスを溜め込ませてしまうというのも、これもまた問題である。
「さっさと終わらせなさい」
美智子はいまいちど大きく嘆息してみせてから、身を起こし、寝間着をくつろげてみせた。
息子はそれを見てこくりと喉を鳴らすと、自身もいそいそと服を脱ぎ始めた。息子の股間にぶら下がるものは、すでに半ばほど勃起している。
「あんたならもっといいひとを見つけられるだろうに」
「いまは母さんが一番好きなんだ」
息子は照れくさそうな笑みを浮かべる。
美智子は三度目のため息を吐き出すと、
「よく言うよ」
毛布を持ち上げてスペースを作ってやる。
良樹はそのなかにもぐり込むようにして横になると、布団のなかで胸のふくらみをまさぐってくる。
「…………」
いつものお決まりの流れだった。美智子にとってこの時間は無意味以外の何物でもないのだが、息子が勝手に満足して欲望を吐き出してくれるのなら、それで構わないと思っている。
「お母さん、気持ちいいところがあったら教えてね」
「あったらね」
美智子はぶっきらぼうに答える。
実際、息子がこうして部屋を訪ねてきたときには何度か身体を差し出してきたが、こそばゆさこそ覚えた経験はあるものの、快感を覚えた記憶はあまりなかった。
偶然にもクリトリスやGスポットといった器官を捉えられたこともありはしたが、それもごく短時間のことであって、性感を強く刺激されるには至らなかった。無反応を貫くだけの余裕はあるし、絶頂に登り詰めるなどあり得ない話だった。
「母さんって、やっぱりおっぱい大きいよね」
乳房を揉みながら、良樹が感慨深げに言ってくる。
「母親に対して言うことじゃないよ」
「恋人に対しても?」
「そうね」
半ば呆れ気味に、美智子は答えてやる。
良樹はくすりと笑うと、片手で乳房への愛撫を続けながら、もう一方の手を下腹部へと這わせていく。そして股の間に滑りこませると、秘裂に指をあてがい、上下になぞりはじめた。
「母さん、どんなふうに感じる?」
「…………」
美智子はぴくりと眉を動かしただけで、何も答えない。
少しのこそばゆさを覚えるが、それだけだ。ただ、いつもにも増してそう感じるのは、指に込められる力が前回よりだいぶやわらいでいるためだろうか。フェザータッチに近いというか、だいぶ抑制の利いた触れ方であった。
「少しは気持ちいい? こっちも日々鍛錬してるからさ」
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