[フリー・センテンス]ぐじゃぐじゃ様の怪

[フリー・センテンス]ぐじゃぐじゃ様の怪

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本作品は文章のみの作品となっております。

~~以下、あらすじ~~

 ・・・・・・かつては「ぐじゃぐじゃ様」と呼ばれる化け物が棲み、禁断の森として恐れられていたその場所は、時の流れと時代の変化に伴って開発が進んでゆき、現在は「梅蛇市」の名で呼ばれていた。
 この街に住む柏木蘭華は、容姿端麗、スタイル抜群、おまけに頭脳も明晰という娘で、モデルとして活躍するという夢を持っていた。そして、それは大手芸能事務所と契約という形で半ば叶っていたのだった。
この日、蘭華は友人たちふたりと青春を謳歌していた。すなわち、カフェで甘い物を食べながら、他愛のない談笑に興じていたのである。その席で、梅蛇駅周辺で発見された変死体のことが話題になったのは、ちょうど蘭華が歯の治療の痛みを訴えたからであった。

「そういえば、・・・・・・ねぇ、ふたりは知ってる? 駅前の再開発で見つかった奇妙な遺体の話のこと」
「あ、知ってる! 確か、変な人間の死体が発見されたって話よね」
「そうそう、その話!」
 いわく、現在、梅蛇駅では、駅前の再開発工事がおこなわれているのだが、その最中、地面の下から白骨化した遺体が見つかったというのだ。最初はなにかの事件かと思われたが、遺体の状態からして、四〇〇年前に亡くなった女性の遺体だということがわかった。
 蘭華は首を傾げた。
「四〇〇年前の遺体なんて、別に珍しくないでしょ。なんか前にも同じようなニュースやってなかったっけ?」
「それがね、不思議なことに、その遺体にはなんと、歯を治療した痕跡があったんだって!」
「歯の治療?」
「そう! 奥歯が削られていたんだけど、その穴に、なんと合金製のインプラントが埋められていたんだって。四〇〇年前の遺体なのによ? これって、すっごく不思議な話じゃない?」

 ・・・・・・そのようなやり取りがあったその夜、柏木蘭華は帰宅の途中で行方不明になった。忽然と、なんの痕跡も残さないまま、まるで煙のように消えてしまったのである。警察は事件と事故の両面から捜査するも、その行方はわからず、事件は迷宮入りとなってしまう。
 この物語は、決して語られることのない、行方不明となった柏木蘭華が辿った末路の物語である。

総文字数は23200文字です。夢と希望に満ち溢れたひとりの少女が、醜悪なる肉塊の化け物「ぐじゃぐじゃ様」によって、心身を無惨にぐちゃぐちゃにされてゆく有り様をお愉しみください。

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