新たな戦いの始まり
一つの戦いが終わり、また新たな凶事が禄武シュラこと斬九郎に、血風舞い踊りて、大地を血の池とし足から胸元まで浸すのは偶然なのか必然か。
戦いに身を置き携えた刀で道を歩む斬九郎の背後で起こるは伝承の姫にまで降りかかる凶刃。
姫の亡骸を抱きしめた斬九郎は心中散々乱れ、妖魔闇漂の味方弐癒芙に示されるは、かつてイザナギすら昇り、イザナミの変異に逃げ出したとされる伊賦夜坂。
その闇よりさらに漆黒宿す冥府の坂は遥か天空を目指して根之堅洲國に辿り着くと言う。
異世界となった前世の神話にある、神に等しきものですら昇れなかった伝承の坂。
その坂が何を意味するのか、
ただ根之堅洲國に赴けば亡くなった姫が還魂するのか?
今はただ弐癒芙の言葉を信じて姫の亡骸を担ぐ斬九郎は妖魔の故郷たる敵地への歩みを決意する。
だが、そこが彼にどう転ぶのか、斬九郎はいまだ知らない。
人の器が割れぬ者に踏破が可能なのか。
斬九郎の肩に座り共にある幼き姿をした妖しと人の間にある奈奈は語るべき言葉を語れず、ただ斬九郎に起こるだろうさらなる凶事の回避を試作していた。
そして、強き者、資質ある者、狂人求め、隠を秘めた闇の魔刀の因縁に巻き込むべく鍛冶師集団アマツマラも動き出す。
追手が迫る中、慣れぬ馬で奈奈と共に奉公人絹、そして亡き姫の従者桔梗が同伴する。
根之堅洲國、その意味を知らず斬九郎は闇纏う災禍の中心にある、人の身だけではたどり着けぬ坂へと向かっていくのだった。
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